ご無沙汰しておりまして、申し訳ありません。
一応生きております。藤沢です。

夏過ぎから仕事が立て込んだのと、
プライベートで大きな変化がありまして、更新をおろそかにしておりました。
今日からまた、心を入れ替えて頑張ります。


 
苦役列車
西村 賢太
新潮社
2011-01-26






さて、こんなおサボりをしている中でも執筆と読書は続けておりました。
今回は、リハビリ第一弾としまして、西村賢太さんの『苦役列車』のレビューをしてみようと思います。

この「苦役列車」は、芥川賞受賞作品ですね。
著者の西村賢太さんは、芥川賞受賞後、メディアの露出も多く、
私もテレビで何度か拝見したことがあります。
その独特なキャラクターから、個人的には好感をもっていまして、
この「苦役列車」もいつか読もうと思っていた作品でした。

(芥川賞にノミネートされ、その発表の瞬間を待つ際に、
 本人は、「風俗に行こうと思っていた」という、おもしろ発言をしていたのが印象に残っていました。)

さて、では作品の中味です。
あらすじ的には、

社会的に劣等感を持ち、将来の希望もない若い主人公「貫太」が、
日雇いの仕事をこなしながら、その思いを増幅する。

といった内容です。

予備知識として、西村さんの表現は、故・藤澤清造氏に影響を受けた古典的古い言い回しが特徴と聞いていたのですが、私個人としては、そこまで古典的な表現でもないなと感じて、少し拍子抜けした感じです。
逆に、文章のリズムも良いので、読みやすい部類に入るのではないかと。

ストーリー的には、前述したとおり、
日雇いの肉体労働と、安い居酒屋でのうっぷん晴らしを中心に進みます。
所謂”底辺”の暮らしをするなかでも、同じ日雇いの仲間での自分の位置を気にしたり、
こういうのも往々にしてあるんだろうなという、卑屈さを丁寧に描写しています。

ただ、これが面白いかと言われると、正直私はそうでもなかったかなと。
この貫太の底辺暮らしがそんなに共感出来るわけでもなく、興味深い訳でもなかったのが理由でしょうか。
正直、貫太の暮らし向きが底辺であるというなら、私の方が人生の苦労もしてるし、そのなかでも前向きに生きてますよ(笑)

西村さんも、貫太に関しては自分を投影しているという趣旨の発言をしてましたので、私小説的な意味合いもあるのかと思います。そういう意味ではリアルで現実的な匂いのする作品ですが、それが面白いかというと、微妙かなぁと思います。

石原慎太郎は絶賛してたみたいですけどね。たぶん、苦労したことないんです(笑)

ただ、文章とかは嫌いではないので、他の作品も読んでみようかと思っています。
私の中の西村賢太さんの評価は、もう少し時間をおいてからにしようと思います。



 KINDLE版もありました!

苦役列車
西村賢太
新潮社
2012-07-01